多死社会を迎え無縁遺骨の増加に関する質問主意書

第212回国会(臨時会)質問第23号
多死社会を迎え無縁遺骨の増加に関する質問主意書

少子高齢化と同時進行で、死亡する日本人の数が増えているが、引き取り手のない「無縁遺骨」について、以下質問する。

一 二〇二二年の総務省調査で、死亡した日本人の数が約百五十六万五千人と過去最高を更新した。この傾向は団塊ジュニア世代が六十五歳以上となる二〇四〇年ごろまで続くと見込まれる。高齢者の孤独死とみられる事例も多数発生し、多死社会は日々の暮らしに様々な不安をもたらしている。同時にいくつもの課題を抱え、その一つは、引き取り手のない「無縁遺骨」の問題がある。

 総務省の調査によると、二〇二一年十月時点で延べ八百二十二市区町村が庁舎内や倉庫で、計約六万柱の無縁遺骨を保管。このうち身元不明はわずか一割で、九割に当たる約五万四千柱は身元が確認できたにもかかわらず「親族らが引き取りを拒否」や「引き取り手が見つからない」に該当した。

 こうした遺骨の扱いを巡る統一したルールが未整備である。自治体側は引き渡す親族らを探すが、一定期間保管しても引き取り手が見つからない場合、骨つぼから取り出して合葬したり海洋散骨したりする。誰もが等しく亡くなった後も尊厳が守られる環境づくりが早急に求められると考えるが、政府の見解は如何。

二 岸田総理は十月二十三日の所信表明演説で「デジタル技術は、社会課題を新たなアプローチで解決する力を持つ」と述べられた。更に「これまで以上に質の高い公共サービスを提供する」と力説されている。

 「無縁遺骨」を回避する自治体の取組例に、「身寄りの有無」、「自分の死後の火葬・納骨や公共料金の解約手続き」、「残された家族が困らないよう、資産や財産、スマホのパスワードにいたるまで必要な情報」、「緊急時の親戚への連絡やお墓の所在地」などを登録できる終活を支援する事業がある。

 国は率先して、多死社会の実情を踏まえて個人情報をデジタル登録・管理すべきと考えるが、政府の見解は如何。

  右質問する。

答弁書

一について

 お尋ねの「誰もが等しく亡くなった後も尊厳が守られる環境づくり」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「引き取り手のない「無縁遺骨」」の取扱いについては、地域の慣習や住民の宗教的感情などによって異なっていると思われるところであり、御指摘のように「統一したルール」として一律にお示しすることは困難である。

二について

 お尋ねの「国は率先して、多死社会の実情を踏まえて個人情報をデジタル登録・管理すべき」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国が、御指摘の「自治体の取組例」に挙げられているような幅広い個人情報を保有し、及び管理することについては、個人情報の適切な管理や国民の合意形成等の様々な課題があると認識している。

参考に、PDF版もご覧ください。

質問本文

s212023

答弁本文

t212023