業界の新陳代謝を図る目的で#放送法第四条を撤廃すべき と考えます 令和5年5月25日総務委員会

 
齊藤健一郎
政治家女子48党の齊藤健一郎です。本日もよろしくお願いいたします。  今回の改正案の規制緩和の方向に関しては、まず、一定の評価はできます。しかし、まだまだ規制が多く、日本の放送業界の新陳代謝は期待できません。更なる規制緩和を求めます。一例として経営基盤強化認定制度、こちら、こちらの制度なんですけれども、いまだ放送事業者側が利用申請をしたことがないという、この制度の存在意義に疑問を感じることから、廃止をまずは求めさせていただきたいなというふうに思っております。  さて、私は、業界の新陳代謝を図る目的で、放送法四条を撤廃すべきと考えます。  現在審議されている放送法及び電波法の一部改正案、こちらは、システムを整備し、効率化を進め、複数の放送事業者が中継局設備を共同で利用できるようにできる法案です。放送業界が活性化されるのは非常にいいことです。しかし、問題は放送される内容であると考えます。  総務省、放送業界はテレビ離れが加速していることに危機感を持っていますが、どんなに設備やハードをグレードアップしたところで、放送される内容が、視聴者から面白い、確かな情報、そんたくなしの報道など、信用がなければ、テレビ離れが止まらないどころかますます進んでいくと思われております。  そこで、二点質問させていただきます。  まず、放送法四条、政治的公平について伺います。  以前、安倍元総理も、放送番組の政治的公平を定めた放送法第四条の撤廃を検討されていました。  安倍元総理といえば、今月、メディア総合研究所から発行された放送レポート三百二号に、政権、メディア支配の軌跡というテーマで記事が掲載されていました。簡単に概要を御紹介させていただきます。当時の安倍総理が、読売テレビ制作の番組に臨時国会開会中に出演したと、これに対し記事では、当時の安倍政権は批判するメディアをたたく一方で、礼賛するメディアにはとことん協力する姿勢を貫いていたと批判をしました。  この記事の表現の自由は当然認められるべきですが、当時の安倍総理の行動は一部メディアに対するひいきではなく、視聴者目線で政府に批判的な報道が目立つ中で、むしろ公平的であると判断することもできるのではないでしょうか。  このように、立場によって大変扱いの難しい政治的公平について、アメリカではフェアネスドクトリン、公平原則が、一九八七年にケーブルテレビの普及による多メディア化などの要因で政治的公平性を保つことが現実問題としてできなくなったことから撤廃されました。  また、元読売テレビアナウンサーで報道局長も歴任された辛坊治郎さんも同様に放送法第四条の撤廃を求めています。さらに、辛坊さんは、長年テレビ局に勤めていた経験から、放送法の政治的公平規定を撤廃しても各局の報道内容は変化しないものと思う、そもそも現在の放送局の現場は放送法を意識していない、なぜなら商売という観点から余りに政治的に偏るのはマイナスであると解説をしています。  私も、放送法の政治的公平規定は直ちに全面撤廃すべきと考えます。近年、インターネットやソーシャルメディアの普及によって、情報発信や受信手段が急速に拡大されていることは御承知のとおりです。放送法第四条の範囲外でもあるユーチューブやインターネットメディアがテレビよりも情報の幅が広く多様な意見を迅速に発信している中で、テレビやラジオなどの従来からある放送に対し規制が必要なのか、放送法に縛られない動画配信手段がこれだけ普及、多様化した時代に、電波を使う放送局だけに政治的公平性を求めるものに意味はないと考えられますが、総務大臣の所見を伺わさせてください。
松本剛明
委員御指摘のとおり、動画配信の普及など、インターネット上で膨大な情報が行き交っているということは私も認識をさせていただいているところでございます。  そういった中で、膨大な情報が行き交うことのプラスもございますけれども、フェイクニュースや偽情報などの問題も顕在化しているというふうに考えているところでございます。  その上で、放送は、電波の利用者として電波法の規定に基づいて公共性が求められているところに加えて、放送法の規定に基づいて、言論報道機関として放送ならではの公共的な使命があるというふうに理解をしております。  これは、災害情報や地域情報などの公共性の高い情報をあまねく伝えるということと、今委員から御指摘がありました政治的公平性についても規定をしている、また、事実を曲げないで報道することなどの番組準則という規範が放送法四条に定められているところでございますが、報道、放送事業者の報道は、言わばこの規範に従っているということで、言わば質の担保された情報を提供する公共的な使命があるというふうに考えているところでございます。  先ほど申しましたように、膨大な情報が行き交う中で、情報の受け手側のICTリテラシーというのも大切になってきますので、総務省としてもこの向上に取り組んでいるところでございますが、情報の出し手側、情報源として放送の存在意義があると私は考えており、メディアとしての重要性は増しているのではないか、そういった中で公共放送と民間放送が切磋琢磨する二元体制を確保をするということには意義があると考え、今回、放送法の改正を皆様に御審議をお願いをしている次第でございます。  四条の廃止、政治的公平性についての規定の削除といったようなことについての御質問かというふうに思いますが、四条に定める番組準則の意義を私は今申し上げたように考えているところでございます。
 
齊藤健一郎
ありがとうございます。  大臣の方も番組の向上というふうにおっしゃられておりますが、先ほど片山委員もおっしゃられていましたけれども、法案の改正案自体は、この地方の経営改善、改善が要るということは売上げが下がっているのではないかというところの観点から、テレビメディアがやはり信用されなくなっているという現状も一つあるのではないかと思っております。  そこで、いま一度大臣にお伺いいたします。ますますテレビは要らない時代に加速していくでしょう。現状維持で、放送業界自体、今後残っていくと思われますでしょうか。
松本剛明
私どもとしては、今申し上げたように、放送に意義があるということで、放送について引き続きその役割を果たせるようにしていただくべく、放送行政を進めていきたいと考えております。
 
齊藤健一郎
ありがとうございます。  続いて行きます。  放送法が制定される以前は、政府は当時、主要放送であるラジオよりも強い力を持っていました。しかし、時代が進み、今やメディアは第四の権力となり、核兵器にも勝る武器と言われ、政府よりも国民に対し影響力を持つようになったと見ることもできます。  放送局は、自主自律の堅持という言葉を盾に独走、暴走し、放送局側から政治的に扇動することもできてしまう懸念の声もあります。先日二十三日、同会派の浜田委員の質疑の副大臣答弁で、放送法は、放送事業者の自主自律を基本とし、放送法に沿って自らの責任において編集するものとの御発言がありましたが、自らの責任においてと言うのであれば、放送法四条自体の存在意義が問われるのではないでしょうか。  続いての質問です。  私は、放送法の政治的公平規定は憲法二十一条違反ではないかという疑念を持っております。釈迦に説法ではございますが、憲法二十一条の表現の自由は、思想や信仰等内心を外部に発表する自由を指しています。そして、情報の伝達方法として、送り手の自由は言論、出版の自由、集会、結社の自由、報道の自由等があり、受け手の自由には知る権利、アクセス権があります。  例えば、テレビ局では、政治的公平性を理由に、選挙に立候補を表明又は立候補の意思を示すと、レギュラー出演者も含め番組を降板させてしまいます、されてしまいます。出演者を選ぶ権利はテレビ局にもちろんあるのですけれども、憲法二十一条の整合性に矛盾があるとも考えられます。  これについての総務大臣の見解をお伺いさせてください。
松本剛明
表現の自由については今委員からもお話がございましたけれども、報道の自由、表現の自由は憲法の二十一条で保障された基本的人権の一つであり、民主主義を担保するもので、これを最大限尊重すべきものという認識は私も持たせていただいているところでございます。  この憲法の規定の趣旨を踏まえて、放送法は、第一条の目的規定におきまして、放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保する、放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義の発達に資するようにするといった原則を規定しているところでございます。  電波は有限、有償な資源でございますので、電波法一条において、国民共有の財産であることから、電波の公平かつ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的とすると規定をされているところでございます。  その上で、放送法四条の番組準則を規定していることは既に御議論をいただいたところでございます。放送番組は、放送法に従って放送事業者が自らの責任において編集するもので、この番組準則、第四条の番組準則も、放送事業者の方がまずは自主的、自律的に遵守いただくものと考えておりまして、放送法四条一項の番組準則の規定は憲法二十一条に矛盾するものではないと考えております。  その上で、出演者をどのように選ぶかは、委員からもお話がありましたが、放送法にのっとりつつ、テレビ各放送局事業者におかれまして自主的、自律的に御判断されているものというふうに理解をいたしておりますので、これについての判断について私からはコメントを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
 
齊藤健一郎
現実的に、やはり選挙に出るというふうなリスクをテレビに出ている方々は抱えているという現実があるということはここで発言をさせていただきます。  そして、報道の自由度ランキングというところになります。G7中最下位という結果について、なぜ毎年日本は低いのか、総務大臣と稲葉会長に見解を伺う予定でしたが、ちょっと時間の都合上省略をさせていただきます。  そして、総務大臣の方へお伺いいたします。報道とは、一体誰のために、何のためにあるのか、お聞かせください。
松本剛明
報道とは、誰のために、何のためにという御質問でございますが、報道の自由は憲法二十一条が保障する表現の自由に含まれるものであるということはもうこれも御案内のとおりかと思いますが、昭和四十四年最高裁判決でも述べられておりまして、報道機関の報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供し、国民の知る権利に奉仕するものと理解をいたしているところでございます。
 
齊藤健一郎
ありがとうございます。  まさにその知る権利というところなんですけれども、その政治的公平があるのであれば、報道しない自由、報道を全くしない自由、これもまた国民の知る権利を毀損している、そういうふうに思っております。それを総務省は見て見ぬふりをしてはいけません。しっかり監督官庁としての役割を果たしていただくことをお願いいたします。  続いて、NHKの受信料請求に関する質問へ移らさせていただきます。  受信料の高額滞納について、四月二十日の質疑で、準備が整った方から順次民事手続により支払督促を実施していると稲葉会長より御答弁いただきました。準備が整った方からとは具体的にどのような準備を行っているのでしょうか。稲葉会長、お伺いします。
稲葉延雄
お尋ねの受信料でございますが、これは公平負担が要請されるということから、お支払いいただけない方に対しては支払督促などの民事手続を実施しているところでございます。  民事手続の実施に際しては、お客様の契約状況や支払意思などの確認が当然必要になります。そうした準備に加え、最終的に民事手続に至る前にはNHKの担当者がお客様と直接お話しさせていただく機会を設けることが望ましいというふうに考えてございます。  このような活動を通じて丁寧に受信料制度の意義や公共放送の役割を御説明した上で、それでもなおお支払いいただけないという場合の最後の方法として民事手続による支払督促を実施していくということとしてございます。
 
齊藤健一郎
ありがとうございます。  実際問題として、続いてのお手元の資料の方をちょっと御覧いただきたいんですけれども、その準備が整ったからというところの方なんですけれども、それによって請求額が大幅に変わっております。委員の皆様にお配りしました資料、こちらの方は、NHKから請求書代理受領サービスに委任されている高額滞納者のリストです。我々が把握する限り、これだけ高額納税者がおり、滞納額が七十万円以上にも上る方も多数いらっしゃいます。  こちら、このたくさん滞納している方に請求するのではなく、その準備が整ったからということで少額の方から裁判しているということも実際問題としてはあるわけなんですけれども、NHKの会計検査を行っている会計検査院では、受信料を滞納している人が何世帯くらいいて、その滞納総額が幾らになっているのか、きちんと把握しているのか、会計検査院の方にお伺いします。
宮川尚博
お答えいたします。  委員お尋ねの受信料の滞納者についてでございますが、令和五年三月三十日の参議院総務委員会におきまして、日本放送協会から、受信契約を締結したものの受信料を支払っていない世帯数が令和三年度末で百十四万件となっている、そういった答弁がございましたことを承知しております。  また、令和三年三月三十日の同委員会におきまして、これもNHKからでございますが、令和元年度末の受信契約を締結した上で一年以上の支払が滞った未収債権の総額は一千七十三億円、こういった答弁があったと承知しております。
 
齊藤健一郎
今の、先ほどの答弁ですと、NHKの契約をした方というふうに言われているんですけれども、NHKを契約していない方がこの世の中にはもう非常に多くの方がいらっしゃいます。そういった方々の、NHKを契約していない方々のまで計算をすると、一般企業であれば、その売掛金の未回収というところを考えると経営に大きなインパクトを与える部分ですけれども、それをそこまでちゃんと把握していないということは怠慢でしかないのかなというふうに思っております。  その辺に続いて、去年、NHKは、鹿児島県の加治木簡易裁判所で行われた裁判で延滞利息の請求を放棄しました。この対応について、会計検査院としての見解をお伺いします。
宮川尚博
お答えいたします。  日本放送協会が裁判において延滞利息の請求を放棄したことについてのお尋ねでございますが、検査結果に基づかずに会計検査院としての見解を申し上げることは困難であることを御理解いただければと存じます。  また、先ほどの令和五年三月三十日の参議院総務委員会の審議におきましては、受信契約の対象であるにもかかわらず受信契約を締結していただけていない世帯数が二〇二一年度末でおよそ八百七十万件、こういった答弁があることは承知しております。
 
齊藤健一郎
ありがとうございます。  会計検査院の方々の活躍を、是非よろしくお願いいたします。  そして最後、続きまして、四月二十日、総務委員会の質疑で、警察庁へ、春の交通安全運動について期間中の運動方針に関する質問をさせていただきました。その中で、五月二十日は交通事故、死亡事故ゼロを目指す日と計画をされておりました。交通安全運動実施期間中を含め、五月二十日は交通事故死の発生はありましたでしょうか。
小林豊
お答えいたします。  令和五年春の全国交通安全運動は本年五月十一日から五月二十日までの十日間行われたところでありますが、この期間中の交通事故死者数は六十五人でありました。これは、昨年の同期間と比較し、十三人、一六・七%の減少となります。  この期間中の五月二十日につきましては、交通安全に対する国民の更なる意識の向上を図ることを目的とした交通事故死ゼロを目指す日とされておりますが、同日発生した事故による交通事故死者数は六人でありました。
 
齊藤健一郎
ありがとうございます。  重点期間中にもかかわらず、事故が発生したことは誠に残念です。亡くなられた方の御冥福をお祈り申し上げます。  時間が参りましたので、最後、警察庁への質問がありましたが、警察庁が取り組むその事故の防止というところの観点の根本を考えつつ、警察庁、今後とも警察庁と現場の警察官の活躍を期待して、私の質疑とさせていただきます。  ありがとうございました。