硫黄島遺骨収集団(JYMA日本青年遺骨収集団)へのボランティア参加に関する報告

ボランティアとして、硫黄島の遺骨収集団に17日間参加してきました。以下、ご報告申し上げます。

実施期間:令和5年度 第4次 2024年1月30日から2月15日
遺骨収集数:27柱

戦没者の遺骨収集の推進に関する法律は2016年に施行されました。遺骨収集を初めて「国の責務」と明記した法律で、2023年度までの9年間を集中実施期間と定めていました。
しかし、新型コロナウイルス流行やロシアのウクライナ侵攻の影響で、2020年度以降収集事業が中止を余儀なくされました。このため、2024年度までの集中実施期間を5年間延長する改正法案が2023年7月に成立し、集中実施期間は2029年度まで延長され、国内外の埋葬地およそ3300か所で現地調査を実施することなどを明記した新たな基本計画を閣議決定しました。
 
予算規模は昨年令和4年度の遺骨収集事業等の予算案は、2,764百万円から3,279百万円に増額されていますが、この予算に関して遺骨収集事業の持続可能性と効率性を高めるためには、予算拡充と民間企業への業務委託の推進が欠かせません。しかし限りある予算の中では効率化だけではない、遺族会のような団体の心情を尊重しつつ、政府予算に依存しない資金確保のための革新的な手法を探求することが求められます。

国家プロジェクトとして遺骨収集を行う上での効率と効果の両立は、資源と予算の最適化によってのみ実現可能です。現行の方針には不完全な面が見受けられ、この点に対する改善が不可欠です。遺骨収集は過去への敬意を表すだけではなく、国家意識と社会的責任を育むための重要な枠組みです。したがって、一般市民、特に学生や社会人の積極的な参加を促すための情報発信と参加機会の提供が重要です。

しかしながら、通信環境や長期的な計画の必要性が社会人の参加に障壁をもたらしています。これに対処するためには、自衛隊定期便を活用した短期参加プログラムの設計や、ふるさと納税、クラウドファンディングを含む代替資金調達策の導入が効果的です。これにより、遺骨収集の海外派遣を含む多様な活動への資金配分が可能となります。

技術的及び外交的な面では、DNA鑑定の予算配分や安定同位体分析への移行、現地政府との協議など、多くの課題が存在します。これらの問題に対処するためには、戦没者の遺骨収集の推進に関する法律第七条に則った、厚生労働省、防衛省、外務省との緊密な連携が不可欠です。

また、SNSや写真撮影の制限、厳正な式典のメディア公開など、現地での収集活動における様々な課題があり、これらへの明確な対応と改善が求められます。遺骨収集活動の成功には、安全性、効率、参加者の体験の質の向上が必要不可欠です。

遺骨収集は、過去への敬意と未来への学びを結びつけることで、我々が歴史を重んじ、将来に責任を持つための大切な機会を提供します。この活動を通じて、多くの人々がその重要性を理解し、責任感を深めることができるよう、適切な支援と改善策が必要です。

参議院議員 齊藤健一郎